ノイズに強いプリント基板設計の秘訣BLOG
ノイズに強いプリント基板設計の秘訣
皆さんこんにちは、
今回は、「ノイズに強いプリント基板(PCB)設計を行うためのポイント」についてお話しします。
現代の電子機器はますます高性能化し、それに伴いノイズ問題も複雑化しています。
設計者の皆さんにとって、ノイズ対策は避けて通れない重要な課題です。
今回から、ノイズに強いプリント基板(PCB)設計を実現するための具体的なポイントを詳しく解説をしていきます。
信頼性の高い製品を作り上げるために、ぜひ最後までお読みください。
ノイズに強いプリント基板(PCB)設計を行うためには以下に注意するポイントをまとめてみました。
1.グランドプレーンの活用
プリント基板上で広い領域を占める銅箔の層で、回路全体の基準電位(0V)となる面になります。このグランドプレーンの役割をしっかり理解し、適切に配置することが、ノイズを低減し、信号の品質を向上させるために非常に重要です。
2.グランドとシグナルの分離
グランドとシグナルの分離とは、基板上のグランド(GND)とシグナル(信号)ラインを適切に配置し、ノイズの影響を最小限に抑える技術です。
3.クリアランスと沿面距離の確保
クリアランス (Clearance)クリアランスは、異なる電圧を持つ導体間の最短空中距離を指します。この距離は、電気的な絶縁を確保し、電気的な干渉やショート回路を防ぐために重要です。
沿面距離は、絶縁面に沿った導体間の最短距離を指します。これは、特に高電圧環境や湿度の高い環境で重要です。絶縁面に沿った放電を防ぐことで、回路の信頼性を高めます。
4.適切な絶縁材料の選定
プリント基板の絶縁材料は、単に信号間の電気的絶縁を提供するだけではありません。実は、これらの材料は熱的および機械的特性も持ち、これがノイズの抑制にも意外な効果を発揮します。適切な絶縁材料を選定することで、回路の動作や信頼性が向上し、ノイズの影響を最小限に抑えることができます。
ノイズに強いプリント基板(PCB)設計を行うためには、いくつかの具体的な設計ポイ ントを押さえるととが重要です。まずは、「グランドプレーンの活用」ついて詳しくみていきましょう!
グランドプレーンの活用
広く一続きのグランドプレーンを確保する
グランドプレーンはできるだけ広く、一続きに配置することが重要です。分割されたグランドプレーンは、ノイズを効果的に吸収できなくなります。
複数のグランドプレーンの利用
基板が多層構造の場合、複数のグランドプレーンを利用して、異なる回路ブロック間の干渉を防ぎます。また、グランドプレーン間をビアで接続することで、グランドの一貫性を保ち、ノイズをさらに低減します。
スルーホールやビアの適切な配置
異なる層のグランドプレーン間で信号を通す際には、スルーホールやビアを適切に配置し、信号のリターンパスを確保します。
グランドプレーンの活用で
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ベタGNDのアンテナ部の対策方法
①アンテナ部をカットする
・このカットにより、アンテナの放射効率が向上し、不要な反射や損失を防ぎます。
・アンテナの放射特性が向上し、通信距離や信号の強度が改善されます。
・ベタGNDによるアンテナのインピーダンス変化や損失が減少します。
②アンテナ部の端にVIAを追加する
・VIAを追加することで、基板全体のメカニカル強度が向上します。
・アンテナの電気的特性が向上し、信号の放射効率が改善されます。
・グランド接続が強化されることで、アンテナのパフォーマンスが安定します。
・設計段階での慎重な検討が、最終製品の品質と信頼性に大きく影響します。
ベタGNDのアンテナ部の対策方法
・アンテナ周辺のノイズを低減し、安定した信号を保つために使用されます。
・広い銅箔面積により、放射ノイズを効果的にシールドし、他の回路への干渉を防ぎます。
・リターンパスが安定することで、信号のインテグリティが向上します
・インピーダンスが安定し、信号の伝播特性が改善されます。
信頼性の高い電子機器を目指して
ノイズに強いプリント基板設計(PCB)を行うためには、いくつかの具体的なポイントが重要です。まず、適切に配置されたグランドプレーンがノイズを吸収し、基板全体の電位を安定させます。
次に、絶縁材料の選定により信号のクロストークや伝播遅延を最小限に抑えることができます。クリアランスと沿面距離を確保することでノイズの影響を受けにくくなり、グランドとシグナルの分離を行うことで、各信号のノイズ干渉を防ぎます。
さらに、EMS(電磁感受性)対策を施すことで、基板が外部からの電磁波に対して強くなり、信頼性が向上します。ノイズフィルターを使用して高周波ノイズやEMIを効果的に除去することも重要です。
これらのポイントを押さえることで、ノイズに強いプリント基板設計を実現し、電子機器の信頼性と性能を向上させることができます。設計段階での対策がトラブルを未然に防ぎ、製品の品質を確保する鍵となります。
今回はグランドプレーンの活用について説明しました。次回はグランドとシグナルの分離について詳しく解説したいと思います。